過去・現在含め最も完成された1DJ(DJ Premier)+1MC(Guru)のユニット、Gangstarrが92年に発表した傑作アルバム。所謂ジャズ・ヒップホップ/アシッド・ジャズというカテゴリーに括られ、本人達の意図しないところでブームの一端を担う役割を果たすようになっていた彼らが、同系列とされていた他のグループを大きく引き離したのが本作であろう。DJ Premierは、どうやってビーツを作るのか分かるようになり、彼の特徴とも言えるジャズ(もしくはファンク)が持つタイム感を最大限に生かした独特のビートやサウンドを既に確立した。この世界遺産に指定したくなるようなPremierの天才的な職人技に、リスナーは彼の名前がクレジットされているレコードを買い漁り、ヒップホップ・アーティストの中にも多くのフォロワーが発生するといった現象が巻き起こった。ファースト「No More Mr Nice Guy」、セカンド「Step In the Arena」、そしてスパイクリーの映画「Mo Better Blues」で参加したシングル「Jazz Thing」で彼らのスタイルと人気は確立され、ジャズ・ファンク・ソウルなどをサンプリングしたシンプルなループトラックと、一度聴いただけでプリモだとわかるスクラッチ、そして激シブのGuruによるラップは派手さはないもののドープそのもの。今作もCaesar Frazier「Funk It Up」のホーン部分をサンプリングしたユルめの曲「Ex Girl To Next Girl」や、定番ブレイクビーツであるSkull Snaps「It’s a New Day」を使用し、Grand Puba(グランド・プーバ)の声ネタをフックのスクラッチに加えた人気曲「Take It Personal」を収録。また、後にそれぞれがファーストデビューアルバムをリリースする事となるJeru the Damaja(ジェル・ザ・ダマジャ)とGroup Home(グループ・ホーム)のLil’ Dap(リル・ダップ)のマイクリレーを聴く事が出来る「I’m The Man」は、ラップも十分なクオリティだが、Jeru the Damajaにバトンタッチする間のCharles Mingus「ll B.S.」をサンプリングしたトラックは圧巻ギャングスター